口腔がんってなに?

口腔がんとは、ひとことで言えば「口腔に出来るがん」のことです。
口腔がんの「口腔」とは、口の中の空洞部分を指していて、主に食物の咀嚼と嚥下を行います。その他、発声器・味覚器、気道の補助といった役割を担っています。

口腔には、歯、顎骨とそれらを覆う粘膜上皮があり亜部位として口唇、頬、歯肉、口蓋、舌、口底で構成されています。
また舌癌など口腔粘膜にできた癌を総称して口腔がんと呼んでいます。


今、口腔がん患者が増えています!

日本では年間約7,000人が口腔がんにかかっています。
30年前の統計と比較してみると、約3倍に増加し、このままの増加率だと10年後には1万2千人以上が口腔がんにかかると考えられています。
現在、毎年約7000人が口腔がんにかかり、その中で亡くなる方は3000人を超えています。

日本が増加傾向を見せる中、アメリカやイギリスなどの他の先進国では国を挙げてがん対策に取り組んでいます。
罹患率は高いため、対策を行った結果、アメリカやイギリス、フランス、イタリアといった他の先進国の口腔・咽頭癌の死亡率は減少傾向を示しています。
日本以外の先進国では、積極的な口腔がん対策による早期発見、早期治療が行われていることもあり、口腔がんによる死亡率が減少しているのです。


口腔がんの危険因子

喫煙、飲酒、慢性の機械的刺激、食事などの科学的刺激、炎症による口腔粘膜の障害、ウィルス感染、加齢などがあげられます。
特に喫煙は口腔癌における最大の危険因子と考えられています。

東南アジア諸国では全癌の約30%を口腔癌が占めていますが、これは噛みタバコの習慣よつものが多いといわれています。
飲酒も口腔癌の危険因子で、アルコールそのものには発癌性はありませんが、間接的に発癌に関与するとされていて、アルコールの代謝産物であるアセトアルデヒドに発癌性があると報告されています。

口腔がん検診の現状

口の中は直接目で見ることができ感覚も鋭敏なので、早期に発見されることも多いのではないかと思われるかもしれません。
しかし口腔がんの早期発見割合は、歯肉では6%、頬粘膜では8%、最も発見されやすい舌でも23%程度しか発見されていないのが現状です。
そのため、現在の口腔がんの検診は、問診と視診や触診などによる口腔内診査による検診が行われます。

典型的な口腔癌は、盛り上がったようなかたまりやしこりを伴う潰瘍(粘膜表面がえぐれて欠損が生じた状態)です。
その他、粘膜が白くなったり赤みを帯びている状態もがんの可能性があります。

口腔がん検診は各地方歯科医師会または地方自治体などの主催により行われており、検診方法も簡単なことから多く方が検診を受けられています。
しかし、いまだ口腔がんに対する認識があまり広くないことから歯科の8020運動などと連動させて、地域、職場における歯科検診を有効に活用して、口腔がん・口腔前がん病変について啓蒙するとともに、口腔がん検診を推進しなければならないとことが今後の課題とされております。

口内炎と間違えやすいので要注意!

口腔がんは口内炎と間違われることがよくあります。

口内炎だと思って放置し口腔がんを見逃さないよう、口腔がんと口内炎の違いを知っておくとこが大切です。

口腔がんは痛みを伴わないものが多く、特に早期がんは潰瘍(かいよう)やびらん(粘膜のはがれや傷)のような口内炎と区別がつかないものがあります。
しかし、口内炎は通常長くても二週間程度で治ります。持続するような場合は口腔がんの疑いがあるので注意しましょう。

その他の特徴として、かみづらい感じがする、舌などにしびれを感じる、頬・舌に動かしづらさを感じる、首のリンパ節の腫れが3週間以上続く、などの変化が表れることもあります。

  • ■ 治りにくい傷がある
  • ■ 粘膜のただれや赤い斑点(紅板症)がある
  • ■ こすってもとれない白い斑点(白板症)がある
  • ■ まわりの健全な組織との境界がはっきりしないしこりや腫れ、できものがある

これらの症状が見られたら、すぐに病院に行きましょう。

早期発見の大切さ

口腔がんは胃がんや肺がんなどとは違い、直接目で見て調べることができることから、比較的早期発見が容易な癌であると言えます。
したがって普段からお口の中をご自分でチェックしていれば、口腔がんを初期の段階で発見することが十分に可能です。

しかし、早期発見の割合は最も発見されやすい舌でも23%程度、その他歯肉では6%、頬粘膜では8%しか早期に発見されていないのです。
これは、口の中の病気が虫歯や歯周病だけだと思っている方が多く、口腔がんがあまり周知されていないからだと言われています。

早期発見は非常に大切で、口の中に白い斑点(白板症)あった場合、7~14%の確率でがん化する可能性があり、粘膜のただれや赤い斑点(紅板症)ががん化する確率はなんと50%以上。
早期にがんを発見し、初期段階で治療をすれば5年後の生存率は90~95%です。
話す・食べる・飲むといった口の大事な機能も、ほとんど支障はありません。

しかし、進行がんではその確率も約50%に低下します。舌を半分以上切除したり、顔や首などに大きな傷あとが残ったりすることになります。
体のほかの部位から骨や皮膚などを移植して再建しますが、今まで通りの生活をすることは難しいでしょう。

早期にがんを発見するために、口腔がん検診を受けることをお勧めします。

口腔がんの種類と症状

舌がん

舌がんは口腔がんの中で最も多いがんです。
主に舌の側面や裏側にでき、舌の上面にできることは稀です。
症状は、表面が凸凹したり、潰瘍ができたり、粘膜面が赤くなったり、白くなったりします。

触ってみて、粘膜の下に「かたまり」や厚みのある部分があったら要注意です!
舌がんは虫歯や、歯ならびの悪い歯で擦れるなどの機械的刺激が原因となる場合も少なくありません。
その様な歯がある方や合わない入れ歯・さし歯がある方はきちんと治しておくことが大切です。

歯肉がん

歯の生えている部分の粘膜を歯肉と言い、そこに出来るがんを歯肉がんと言います。
粘膜が赤くなったり、白くなる、表面が凸凹する、潰瘍ができるなどの症状があります。
歯周病でもないのに、歯がぐらぐらする・腫れる、歯を抜いた後、なかなか治らないなどの症状のこともあります。
歯ぐきの表側だけでなく裏側にできることも多いので注意が必要です。

口底がん

下あごの歯ぐきの内側と舌の間の部分を口底と呼びます。
口底がんも粘膜面が、赤くなったり、白くなる、表面が凸凹する、潰瘍ができるといった症状が表れます。

頬粘膜がん

頬の内側、口の中の粘膜に出来るがんです。
噛んだり、傷つけた覚えがないのに、赤くなったり、白くなったり、表面が凸凹したり、潰瘍ができたら要注意です。
触ってみて、何か粘膜の下に「かたまり」や厚みのある部分があったら、頬粘膜がんの可能性があります。
また、親知らずの生える部分の粘膜部分も後発部位の一つです。


歯口蓋がん

口の上あごの天井の部分を口蓋と呼び、ここに出来るがんを口蓋がんといいます。

他のがんと同じく、傷つけた覚えがないのに、粘膜面が、赤くなったり、白くなったり、表面が凸凹したり、潰瘍ができたりした時は、要注意です。
また、臼歯部の内側の歯肉が腫れてくる唾液腺腫瘍もあります。